住宅業界の闇〜その①〜
2013年に住宅建築を思い立ち、早8年!
なんとか今順調に建築施行中です。
これまでに大手ハウスメーカー、地元ビルダー、工務店、建築家…
RC、鉄骨、木造、いろいろな構造でさまざまな会社と検討を重ねて来て、
たくさん失敗をし、勉強代も支払ってきました。
その中で分かったことがあります。
「住宅業界には大きな闇がある!」
普通は、住宅建築に8年もかけていられません。
(実際、大手ハウスメーカーで建てた知人はなんと契約から竣工まで3カ月!)
闇に気付かず建てる方が大部分でしょう。
知らなくても全然構わないし、
知らずに満足できる住まいが建てられたなら、
それが一番ラッキーです。
また、多くの人にとっては一生に一度の家づくりなので、
あれ?と思ったことがあっても、その経験を次に生かすことができないということも。
なので、これから家を建てようとされている方や
「どこに頼んだら良いか分からない」
「ここと契約しても良いだろうか?」
などと悩んでいる方に、
私たちがこれまでの経験で感じたことをお伝えしてみようと思います。
もしかしたら何か役に立つかもしれません。
ちょっと長いかもしれませんが、読んでみていただけたらと思います。
「家づくりを思い立ったとき、まず何から始めましたか?」
住宅系の雑誌などのアンケートにもよくある質問です。
大抵の答えは、
「いろいろなメーカーのモデルハウスを見学しました」とか、
「数社が集まっている住宅展示場を回ることから始めました」
ではないでしょうか。
または
「友達が建てた住まいが素敵だったので、同じメーカーを紹介してもらいました」とか
「実家が○○だったので」
といった答えかもしれません。
これらの行動は間違いではないのですが、
今からお話しする〝住宅業界の闇の正体〟を知っておくと
もっと依頼先の選定が楽になります。
こういったアンケートで私が不思議だったのは、
「依頼先の選択に至った決め手は?」
という問いに対する答えで多いのが 〝営業マンの人柄〟だということです。
営業マンの人柄ももちろん大切なのですが、
私はいろいろ巡る中で、自分の人を見る目の無さに自信を無くしていたので、
それを決め手にすることが怖くなっていました。
私たちも、初めはモデルハウスや住宅雑誌などを見て、
いくつか気になるハウスメーカー ・ビルダーに見積もりをお願いしました。
しかし、住宅業界最大の闇に行く手を阻まれたのです。
それは
〝本体価格という名のブラックボックス〟です。
多くのハウスメーカー、ハウスビルダーさんにお見積もりをお願いすると、
本体価格/○○○○万円、オプション代 /○○○万円、別途工事費 /○○○万円、諸経費/○○○万円…
みたいな内容になっていると思います。
本体価格は、標準仕様として設定してある構造・建材・設備機器で建てた場合で計算してあります。
ここで大切なのが、この〝本体価格〟というのは、その会社が最低でも死守したい価格です。
なので、計画が進んでいって、例えば
「オプション扱いのものに金額を割きたいから、標準仕様のコレを無しでお願い」
と言ったとしても、おそらく多くの場合価格は下がりません。
また、本当にブラックボックスなので、
何に金額がかかっているのか、何が高くて何が安いのか、
まったく施主には分かりません。
価格を下げたいのであれば、床面積を少なくするしか無いのです。
なにそれ!と憤りたくもなりますが、
一方でこの闇は、仕方が無い部分もあります。
ある程度規模の大きい住宅会社の営業マンは基本的に設計士ではありません。
(たまに図面を書く人もいますが、経験に裏打ちされた自信があるだけです)
そんな営業マンたちが、一律に家を売るためには、基準を設ける必要があります。
車のディーラーと一緒で、何かしらの車種ならぬ家種、規格を設定していないと、
売りにくいワケです。
何人もの営業担当が受けてきた案件を、少ない設計士で設計して、
出来るだけ短いスパンで、どんどん建てていかないと、会社が成り立ちません。
また住宅会社は、標準仕様として設定したものをまとめてメーカーに発注することで、
安定的かつ低価格で仕入れができます。
お客さん一人ひとりにじっくり付き合って建てていたら、3カ月で建てるなんて不可能です。
お客さんとしても、膨大なメーカー、カタログの中から選ぶよりは、
ある程度セレクトしてくれた方が選びやすいでしょう。
そもそも日本の多くのハウスビルダーが扱う建材や設備機器のメーカーは共通です。
限られたメーカーの既製商品の中から、どういった組み合わせで建てるか。
それが各社の考え方の違いによってセレクトされ、
標準仕様という枠組みが出来上がっています。
では私たちはどうしたら賢く、自分の気に入った家を建てられるのでしょうか。
それは、
〝標準仕様を気に入ったビルダーに依頼することが、
最高にコストパフォーマンスが良い〟ということです。
なので、家を建てよう!と思ったときに、まずモデルハウスや住宅展示場に行くよりは、
気になるハウスメーカー・ビルダーの建売を見に行った方が良いと思います。
住宅展示場のモデルハウスはオプションだらけなので、
業者選択の際は、なんの判断材料にもなりません。
モデルハウスと同じ仕様で建てたいと言ったら、あるハウスメーカーには、
「あれはあくまでもモデルハウスなので無理です」と言われたことも。
↑ は??意味が分からないですよね。
(インテリアデザインや照明計画の参考にはなりますので、
設計段階に入ったときにでも改めてゆっくりチェックされるのが良いかと。)
その点建売は、標準仕様+ちょっと見栄えのするオプションなので、
その会社の大体の相場を掴むのに最適です。
なんなら、建築地さえ気に入れば、エアコンや照明などの住設、家具も付いてたりするので
建売購入が一番お得かもしれません。
建売の金額・内容を気に入れば、
その住宅会社は、大体あなたのイメージに合う家を建てることができるでしょう。
ここで、
「住宅のスペック、つまり性能・構造は重要では無いのか?」
という疑問が出てくるかもしれません。
住宅のスペックについては、今や各社あんまり大差ない気がします。
大抵のハウスメーカー・ビルダーさんが、
高気密・高断熱、耐震等級3、長期優良住宅、ZEH、LCCM…
それぞれ他社と遜色ない性能を追求し、差異を出せるような構造を選択しているので、
よっぽど悪質な会社じゃ無い限り、問題ないかと思います。
ただ、びっくりすることに、建物の構造計算は
一般的な木造2階建てまでは建築申請時に書類で提出しなくてもOKなのです。
最近では、全棟構造計算します!という会社もありますが、
簡易的な「壁量計算」をしているだけかもしれませんので、
スペックが気になる方は、
「許容応力度計算」をするかどうかはチェックした方が良いかもしれません。
余談ですが、スペックを追求すればするほど、間取りに制約が生まれます。
私個人としては、最高のスペックを追求してガチガチな間取りになるよりは、
ちょうど良いバランスを取りたいという考えです。
そしてむしろ、理論よりも実際の施工をチェックすべきです。
どんなに理論上良い構造をした建物でも、
現場の職人さんとのコミュニケーションが取れていない監理者の元では、
良い建物は建てられません。
(これは以前依頼していた建築家の、他現場を見て痛感。その辺も後ほど。)
標準仕様を気に入った会社が見つかったら、そこで初めて営業さんとの相性を気にしましょう。
「家はめっちゃ気に入っているけど、営業担当がどうしてもいけ好かない」
場合、担当を変えてもらう、または建てる間だけ我慢する、ことが無理なら
気持ちよく建てられる会社を選んだ方が、精神的には良いかもしれません。
個人の問題ではなく社風ということもあります…
私たちは、仕事場も兼ねた家を建てたかったので、
ハウスメーカーでは、どうしても標準仕様だけでは収まらず、
多くの部分がオプション扱いとなってしまっていました。
最初に予算を伝えるのですが、何故かどこも本体価格=予算の金額で設定するので、
総額は常に予算の1.5倍以上…
何故予算を伝えているのに、それ以内で収めようとしないのか。
その理由こそが、次の闇!
その②で、お伝えします。
紆余曲折を経て、標準仕様なんてものが無い工務店さんにやっと巡り合えました。
見積書は一つひとつ項目ごとに金額が記載されています。
Aを取りやめてBにすれば、見積もりからマイナスAして、Bの金額をプラスしてくれます。
建築家を通さないやり方で、この手法を取ってくれる工務店はなかなか無いと思います。
どうかあなたも、相性の良い&信頼のおけるハウスメーカー・ビルダーさんと出会えますように!!
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